Parce que c'est comme ça

欧州大学院生。最終目標はバカンスのある人生。パスクセコムサ。

各種地獄の詰め合わせ:森友事件の文春スクープ

コロナ、えらいことになってますねえ。外出禁止、ロックダウンも珍しくない海外の様子を見ていると、日本はどこのパラレルワールドを生きてんの?という気持ちになってきます。つくづくこの国からは合理性とか社会的保障とか、失われてしまったんだなあ。

 

そんな世界的大事件のさなかですが、週刊文春3月26日号に元近畿財務局職員、故赤木さんの手記が掲載されました。これがもう…いろんなところをえぐってくる殺傷能力の高い代物でした。日本社会のあらゆる地獄の詰め合わせ。様々な格差のせいで、まともなことを言っても全然取り合ってもらえない、逆に追い詰められてしまうという。それは生きてられんくなっても致し方なしとすら思いました。いや、結果亡くなってしまったことについてはまったく致し方なくないというか、絶対に助けなければいけなかったんだけれども。

というわけで、ちょっと吐き出しておこうと思います。

 

 

1.キャリア/ノンキャリアの格差

国家公務員には試験区分により総合職(旧Ⅰ種)・一般職(旧Ⅱ種)の二種類の職員がいます。前者がいわゆる「キャリア」、幹部候補生として様々な部署を転々としながら出世していきます。後者は「ノンキャリア」で、一般的にキャリアよりも異動範囲が狭く、出世のスピードも遅いです。省庁によるかもしれませんが、地方出先機関で採用されるキャリアはまずいないと思います。よって、近畿財務局のようなところでは、ほとんどは生え抜きのノンキャリ職員だが、局長など一部幹部や重要ポストは中央(財務本省)からの出向キャリア職員、というのが一般的な姿でしょう。

出向してくるキャリア職員も、あまりにノンキャリ職員を蔑ろにした態度を取っていては当然職場がまわりませんから、あからさまにノンキャリ差別をすることは考えにくいかもしれません。けれども、いずれ幹部になっていく(人にもよりますが)キャリアと、本省課長になれたら大出世のノンキャリの間にはやはり差があります。し、もっとシンプルに(今回のケースでもそうですが)ベテランのノンキャリ課長補佐の上司が出向組若手キャリア=上司には逆らえないという構図もあります。

なんかねー、優秀なノンキャリの方が入社時の試験区分だけでつまんないキャリアにさえ一生頭があがらない構図っていかがなものかと思いますよ。最近ノンキャリからキャリアへの登用も始まっているようですが(おそらくキャリアの若手があまりにも退職するため)、もうちょっと柔軟に動かせば?と思います。

 

2.中央/地方の格差

地方出先機関はあくまで「出先」、政策をただ実行する機関であり、立案はあくまで東京の本省で行うというつくりになっています。だから、「地方は中央の言うことに唯々諾々と従っていればいい」というマインドが形成されてしまうわけです。

まあ基本構造はそれでいいとしても、運用の実際を一番分かっている現場、地方の意見をもっと尊重する姿勢が必要ではないでしょうか。財務省の内部事情に詳しいわけではないので想像ですが、日本の組織って結構「自分の意見を言うこと自体が罪」みたいな雰囲気あるじゃないですか。とにかく決まったことには従え、と。でもそれ、人の持ち腐れですよねえ。なるべく多くの意見を出してもらったうえで、それをもとに判断するほうが絶対にいいものができるじゃないですか。地方は粛々と事務をこなしていればいい、というマインドは払拭すべきです。

 

3.男女格差

実は今回、一番胸が痛かったのがコレ。赤木さんが亡くなったあとの話なので本題からは少しずれるのですが。ある財務省職員から赤木さんの妻(以下Mさん)あてに、「財務大臣が墓参したいと言っているがどうか」という問い合わせがあり、Mさんはぜひ来てほしいと答えたと。しかしその後、当該職員がMさんの兄に電話でこう告げたという。

妹さんは大臣に来てほしいと言っていますが、マスコミ対応が大変だから断りますよ

じ、じごく~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!

いや、これを地獄と言わずしてなんといおうかという感じではないですか。いや、なんでそこで兄登場する???っていうかそもそもなんで聞いた???どうせ断ると思ったのか、たかが女の言うことごときと思ったのか知らないけど、こんな見事な女性軽視今どきキメられるのすごすぎぃ…

こうやって女は無視され軽んじられてきたのだよ…つら。全体的に赤木さんが亡くなったあとの財務省職員達によるMさんへの対応がドイヒーすぎて絶句するしかありません。出てくる奴出てくる奴全部ク(自粛)。そりゃー事務次官もセクハラ放題だろうわそんな組織。そんな奴らに毅然とした態度を貫き、訴訟まで提起するMさんのすごさよ。本当に応援したいです。

 

霞が関ってやっぱりこういうところだよね…と再確認させられた今回の記事でございました。