Parce que c'est comme ça

欧州大学院生。最終目標はバカンスのある人生。パスクセコムサ。

ジェンダーギャップランキング121位によせて

先日、最新版のGlobal Gender Gap Report が出ましたね。

www.weforum.org

 

わが日本は栄えある(ない)121位にランキングされました。第一印象としては「あーまーそうだよね、それにしても結構落ちたな」というところでした。

なんといっても医学部入試でド直球の差別をやらかした大日本ですからそりゃ下がろうってもんです。まあ別に今年発覚したってだけでこれまでもずっと行われてきたことだし、発覚しないよりはしたほうがいいんですけど、それに喜んじゃうとハードル低すぎて切なくなります。

というわけで、日本の男女格差について思っていることを書き留めておこうと思って筆をとっています。

 

 

問題を定義する力

早速本題に入る前に。ランキングの力、すごいなと思いました。「121位」という数字が出て議論が巻き起こる。日々女性差別死ねと思っている人々にとっては、「ホラひどいでしょ」と提示する武器にもなるし、「こんなしんどい国でよくがんばってるよ」という慰めにもなる。

もちろん完全無欠なランキングではありません。けれども、誰が見ても分かりやすい客観的指標を使い、この世界の一側面を目に見える形で表してくれています。というか完全無欠なものなんてありっこないんだから、パーフェクトでないことそのものを殊更にあげつらうのはナンセンスです。よく「アラブ諸国より下なはずがない(からランキングの作り方がおかしい)」的な言説を見るんですけど、「アラブ諸国にすら負けている分野がある可能性」(事実と言いたいが)を直視してくれ…と思います。

で、私は今大学院進学を目指しているわけですが。研究が持つ大きな力の1つはこういうことだよなと思います。現状を分析し、問題を定義し、世間に投げかける。その積み重ねが今であり、改めてこれまでの人類の歩みに敬意を表したくなります。

 

閑話休題

 

女性のせいにしないで

女性議員が少ないとか女性管理職が少ないとかいう問題に対して、「でも女性自身がなりたいと思っていない」「機会は平等にあるから結果として男女不均等でも問題ない」なんていう戯言はもうたくさんです。うんざり

生まれつき女性より男性のほうが優れているなんて非科学的言説を信じていない限り、母数は男女半々なのに権力的地位には圧倒的に男性しかいないことの不均等に気づけますよね?その不均等を生んでいるのは社会です。長とつくものを女子がやろうとしたら出しゃばりと言われたり、家事の手伝いを女子だけがさせられたり、女の子の浪人はみっともないと言われたり、東京に行かせてもらえなかったり、そんなことの積み重ねの結果が「管理職になりたがらない女性」なんです。Do you understand?

仮に今管理職や政治家になれるポジションの女性がいたとしても、圧倒的男性社会のなかでセクハラも覚悟しながらやりたいと思えるでしょうか。私は思えません。

まあていうか件の医学部入試事件で一番狭義の機会平等すら保障されてなかったということが判明しましたがね。もはや乾いた笑いしか出ませんがね。それが医学部に限った話だって、今やどうしたら信じられますか?笑

そこまで把握したうえで、そういう意識を植え付けられてしまった女性をどうやったらサポートできるかから出発してください。現実問題として男社会に最初に入っていく女性には多大な負荷がかかることを前提とした制度作りをしてください。社会から刷り込まれた意識は簡単に変わるもんじゃないし、変われば解決する問題でもありません。

 

121位というファクトを直視して

「むしろ日本は女尊男卑じゃないか」「こんなランキングに意味はない」

Shut up, please.

映画館のレディースデイとかね、男性差別であること自体に異論はないです。でもさ、それと賃金格差とか非正規率とか医学部入試とか、同じレベルの話だと思う?本気で??

たしかに120位と121位を比べてどっちが上だ下だということに意味はないと思います。でも、10位と121位は明らかに違うぞ?少なくない女性が「121位か~まあだよね~」って言っているのに、強者側にいて構造が見えづらくなっているほうから「そんなの嘘っぱちだ」とかいって勝手に無効化しないでくださいますか?

 

もううんざり

いきなり後ろ向きで申し訳ないですが、私はもう疲れました。確かにいいニュースもありました。#KuTooが盛り上がったり、伊藤詩織さんが民事で勝訴されたり。彼女たちの勇気と不断の努力には本当に敬意を表するほかないです。だけど、石川さんも伊藤さんもものすごい量と質のクソリプに晒されていたり、どう考えたって自民党は女性議員増やす気なんてないだろうなとなったり、圧倒的な勢いを誇る絶望がわずかな光もかき消してしまいます。別に外国が桃源郷じゃないというのは分かっているつもりですが、私はとりあえず日本を出たいです。緊急避難、というか正当防衛が必要です。

 

とはいえ身の回りの世界で諦めはしない

とはいえ、私はまだ日本にいて日本で働いています。テンプレかってくらい管理職はみんなおじさんだし、若い女性は自分大好きおじさんの餌食にされています。そういう日々の世界のことまで諦めてしまうことは、自分に許せません。ごく狭い範囲ではあるけれど、うっとおしいおじさんに対しては「もういい加減にして」と言っていきたいし、過剰に接待させられている女性たちには「そんなことする必要ない」って思ってもらいたいです。それは頑張ります。

 

これがおそらく2019年最後のエントリと思うと切ないですが、2020年も元気に闘っていこうと思います。みなさまよいお年をお迎えください。