Parce que c'est comme ça

大学院留学に向けて勉強します。最終目標はバカンスのある人生。パスクセコムサ。

月雲の皇子 感想

どこまで取っ散らかっていくのだこのブログ?という感じですいません。

7月のFNSをきっかけに真彩希帆さん・望海風斗さんのあれこれを調べまくるようになり、上田久美子先生という方に行きつき、昨日とうとう月雲の皇子という作品を観てしまいました。あ、宝塚歌劇団の話です。

歌劇団全体については、演者は女性しかいないのに男尊女卑がきつかったり、労働環境やいじめへの対処に???となる点があったりでハマり切れていないのですが、この月雲の皇子という作品にはなんだか感想を書いておきたい気持ちにさせられてしまいました。

 

〇時代が最高

いきなり好みの話でアレですが、私古代日本が大好きなのですよ。おもに「天上の虹」と勾玉三部作(「空色勾玉」「白鳥異伝」「薄紅天女」)のせいですが。紅天女は長岡~平安遷都あたりなんでもう古代とは言えないかも、まあ細かいことは置いておいて。

大好きなんだけど日本史の授業ではそれはもうさらーっと流されて悲しくてですね。フラストレーションが溜まっていたのです。そう、その意味で「あかねさす紫の花」も観てみたいとは思っているのですが、逆に思い入れがありすぎて「額田はこんなんじゃない…!」とかってなりそうでまだ躊躇してます。笑

というわけで早速脱線してしまいましたが、この物語のお話は允恭天皇安康天皇らへん、古墳時代ですね。全然知らないけど、「土蜘蛛」って歴史用語だったのね!とか、「かんなぎ」が巫女さんのことだとか、衣通姫はいわゆる斎宮なのねとか、「ひつぎのみこ」が「日継の皇子」=「皇太子」とか、もういろんな言葉がガシガシ刺さりました。

お衣装も素敵だったのだけど、男性役がみんな丈の短い衣で長いブーツ履いてたのは不思議でした。まあ木靴じゃあヒール無理だし踊れないからでしょうけど。

 

〇音楽と舞台

生の舞台をほとんど観に行ったことのないど素人なんで全然いいことは言えないですが、音楽がなんかよかったですね~。たぶん雅楽系の楽器は使ってないと思うのですが、使い方や音色を工夫して古代日本のイメージが出ていると思いました。繰り返し同じメロディーの歌がはさまれるのも、でも少しずつ雰囲気を変えていてうまいなあと思ったり。

あと上から出てくる花とか、幕っぽい白い仕切りとかも静かな美って感じで素敵でした。

 

〇物語

典型的なパターンを特殊な設定にうまく詰め込んでおり、共感を誘いつつもマンネリは感じさせないという巧さでした。義兄弟間の恋愛、しかも三角関係、お互い大切に思ってるけど立場がそれを許さない、強いても(というか強いてしまったから)得られない心、うわ~~~よくある。でもよくある所以は、こういうのがまあよく人の心をつかむからなんでしょうねえ。

また、言葉や物語が持つ意味は何か、というテーマを、処女作にぶつけてくる上田先生、明確な使命感がありますね。「歌や物語には、正史には記録されない人々の真実を」っていう発想、「天上の虹」の人麻呂が言ってた通りですね。たしか紀皇女に語っていたはず。どなたかのブログで史部が編纂していたものが古事記日本書紀、「歌」「物語」が万葉集に繋がっていくのだろうと書いてあったのを読んで思い出したのでした。

あとは、女性が登場人物としてきちんと生きているというのがよいですね。宝塚の他の作品はまだ「ひかりふる路」しか観ていなくて、これも女性革命家のシーンがあったりで健闘しているほうだと思うのですが、それよりもストレスなく観られました。ショーなんかを観ていると、女性は添え物にすぎず、おそろいの衣装を着て集団の中の一部として踊っているだけ、みたいな場面が続くとうんざりしてしまいます。この作品では、皇后、まぬ、姫の付き人、パロ、ガウリとみんな個性的なキャラクターで生き生きしていました。

 

〇つっこみどころ

一番ひっかかったのがやはりあれですね、なぜ木梨軽皇子は闇落ちしたのか。説明されるところではやはり衣通姫の結婚を知ったからってことなんでしょうけど…。確かに、そもそも謂れのない罪を着せられ、さらに姫のために嘘までついて被ってあげたのに、その命をかけて助けた姫が自分を陥れた奴と結婚って、怒るのは分かります。分かりますけど、それであんなに優しかった皇子が、一気に人の命を軽視するような、あそこまで振り切れるでしょうか?朝廷のことはよく分かっているでしょうから、姫が断れる立場になかっただろうとか想像できるくない?姫が本当は穴穂のことが好きだったと勘違いしていて、自分が道化のように思えたとしても、だってそんなのまわりの「土蜘蛛」の人たちにはなんの関係もないじゃないですか。その辺は弁えられる人だという印象を一幕では受けたのですが。それとも、ただ朝廷軍に蹂躙されるのはかわいそうだと思って武器を与えようとしたのでしょうか。でもそれだけじゃあそこまで人格変える必要ないし…。

ま、とはいえたいへんなショックであったことは間違いないだろうし、人格変わっちゃってもしょうがないかなってギリギリ理解できるラインではあります。ただもっと説得力のある展開を上田先生は想定して暗喩しているんじゃないかと思うので、そこを読み取れなかったのはちと悔しい。

 

〇珠城りょうさん、美しいね!?

なににびっくりしたかって、珠城さんのお顔にびっくりしました。いやぶつくしい。あの目がよいですね。ちなみに見た目だけで言えば2幕のほうが好みでした。あとこれもよくあるやつだけど、1幕で姫の寝室に忍び込んだとき、こらえきれず抱きしめたシーンはよかったですねーーー。ああいう少女漫画的お約束をしっかりぶっこんでくれるのやっぱ最高だと思う。

 

〇鳳月杏さんかっこいい。。。

こないだ幕が開いたI AM FROM AUSTRIAの挨拶で、珠城さんから「おかえりなさい」と言われた鳳月さんの反応がかっこよすぎてびっくりしていたところだったのですが、いやーよいですね。あの切れ長の目、冷たい視線。青の讒言に迷い、乗ると決めるまでの表情、姫とのやり取りなどなど。雨乞いの舞も、躍動感と言うのかしら?リズムがよいのかしら、素人には具体的に何が違うのか分からないけれど、目を引きました。

 

〇輝月ゆうまさん???すごいね????

お噂にはかねがね聞いていたのですが、いやすごいですね。まだ20代なかばであんな演技できる?完全に、辛酸をなめてきつつも若者に温かく接するちょっとお茶目で深慮のあるご老人だったじゃないですか。1幕歌いあげて観客からの拍手に調子乗っちゃう感じとか、あれすごいね?現実に肉薄しつつもキャラを崩していないというか。夏美ようさんと並んでも違和感なく、双璧と言われて納得できるのすごい。別に夏美ようさんが手を抜いているとかではまったくなく(当然)、すんげー濃いお芝居してるのに。

彼女は宝塚に入ってこそのあの役幅の広さ(とか言って他の作品は観たことないけど)なんだろうなあと思います。素敵。

 

あとは、咲妃みゆさん、芝居巧者と聞いていたけれど、確かに不自然さが全くない。すべてにおいて。役柄の違いなのかもしれませんが、他の役者さんは多かれ少なかれ「芝居してる」感が出てる場面があったのですが、彼女にはそれがなかったですねえ。素を感じさせることがなかった。

出てるって知らなかった朝美絢さん。いきなり登場してびっくりしたよ。笑 お顔が美しい。甘えん坊の末っ子感満載でかわいらしかったですね。

 

はい、というわけで満足したのでPersonal Statementに戻りまする。