邦題がひどい…「バハールの涙」「ナディアの誓い」
こんばんは。はなぶさです。
タイトル2件に加え「共犯者たち」の感想も書いておきたいのですが、その前に、、すいません愚痴らせてください。
海外映画を輸入する際の日本でのプロモーションが信じられないくらいダサいことはまあ周知の通りではあるんですけど、その周知の通りのことを書きます。
「バハールの涙」も「ナディアの誓い」も、ISにより迫害されたヤズィーディー教徒の女性を取り上げたものです。原題はそれぞれ「Les filles du soleil」「On her shoulders」、直訳すると「太陽の娘たち」「彼女の肩に」というところでしょうか。
どっちも過酷な状況を生き抜いているものすごく強い女性たちなのに、涙とか誓いとか甘っちょろい言葉つけてんじゃねーぞ!主人公が男性だったらぜってー使わねえだろそんな言葉。というジェンダーギャップ110位美しい国あるあるはまずあるとして、どっちの邦題も映画の中身をちゃんと表してないと思うんです。
Les filles の意味
これ「Les femmes(成人女性)」じゃなくて「Les filles(娘)」なところが重要なんです。劇中でもその通り言及されていますが。ISにさらわれて性奴隷にされたのは、まだ「femmes」とも言えない幼い子どもたちも含まれていた、というところ。ISの残酷さと女性たちの強さが際立つ原題なのに、「バハールの涙」て…別にこの映画じゃなくても「(ヒロインの名前)の涙」なんて付けちゃえるじゃないですか。なんでそんな陳腐な題付けちゃうんでしょうね。原題の直訳ならまだしも、全くかすりもしてない。おこ。
彼女の肩に(積極的に望んだわけではなく)のしかかるもの
はい、続きましてOn her shoulders。これもほんと原題が秀逸だと思う。先日ノーベル平和賞を受賞されたナディアさんのドキュメンタリーですが、彼女は世界中で彼女や彼女の仲間が受けた被害を語ってまわるわけです。彼女は強い。それは間違いない。けれども、映画を観て感じ取れるのは、「誓い」という言葉から連想されるような積極性ではありません。そこにあるのは、ひどい扱いを受けて、なんとか逃げ出してきたけれど、まだ取り残されて辛い思いをしている同胞をなんとか助けなければという切実な思いだけです。何度も語っている通り、何も起きなければ平凡な村娘として暮らしていたかったのです。彼女の強さはもちろん根本にあるけれども、(おそらく)いろんな成り行きで背負わざるをえなかったものを、投げ出すわけにはいかなかったということなのです。投げ出す自分が許せないという動機こそあれ、彼女の肩にものすごい重荷を積ませたのは、決して彼女ではない。そういう重みが「On her shoulders」にはあるけれど、「ナディアの誓い」にはないと思いませんか。
全く本当に配給会社は何を考えているんでしょうか。涙とか誓いとか奇跡とか愛とかもうみんな飽き飽きだよ。